対岸に見える島は「沖ノ島」。
漁業が盛んな小豆島土庄町小江から、思い切ってジャンプすればたどり着くんじゃと思う距離にあります。
小柳ルミ子さんの「瀬戸の花嫁」の舞台となったその島は、
周囲たった2.8km、標高も34mとなだらか。
約20世帯中14世帯中が漁業を営み、1世帯が農業を営んでいます。
港には約20世帯とは思えないほどの漁船。
歩く道の両サイドに溢れる、彩り豊かな野菜や果物や山菜。
島のお父さんからもお母さんからも、料理話がどんどん出てきたり、
島の方が島の柑橘で作ったケーキやデザートをご馳走してくれたりと、
滞在中はずっと食欲を刺激され続けていました。
小江から船が出ているので、実はどなたでも行けます。
往復でも片道でもたった100円。運航時間はたった約90秒。
このように時刻表はありますが、港に人が立っているのが見えると、時刻表関係なく迎えにきてくれます。
「待つより、迎えにきてくれた方がええやろ?」と船長。
そりゃそうだけど、こんな親切な仕組み初めてでソワソワ。
「島の誰と親類なんや?」と問う船長。それくらい沖ノ島に行く人少ないんですね。
聞けば、船には子供が乗るくらいで、大人が4人も乗るのはかなり珍しいようです。
「誰のところ行くん?」と尋ねられ、答えると親切に道を教えてくれました。
「こっちの道より、あっちの道の方がええで」
コンクリートを敷いたところ = 道
と、いうのもなんだかおもしろい。
第一島人発見。
割烹着を来たお母さんが船で帰ってきた様子。
お母さん、かっこいいです。
帰ってくると、港で会った人とおしゃべりをしている様子。
ベトナムなどの、海上生活とイメージが重なりました。
港で第一「島犬」発見。しかもオシャレ。
近づくと、しっぽを降って喜んでくれました。
と、犬を抱えた女性が。
やっぱりオシャレ。
聞くと、沖ノ島のほとんどの世帯で犬を飼っているのだそう。
猫よりも犬が多い島なんて初めて。
しかも、犬を可愛がってオシャレにしているのは、がたいのいい漁師さんだそう。
島にいる間、いろんな犬に出会いましたが、
どの犬もおとなしく、とっても人懐こい。
こちらの自転車は、郵便局の方や、荷物を配達に来た方など、
外から来た方が便利なように、置いてくれているのだそう。
ここにも親切心が。
家族が帰ってきました。
「船」は、「車」や「自転車」のようなものなんですね。
帰ってきた子供に話しかけるおばあちゃん。
「今日終業式やったんや」「明日から幼稚園に入るんや」 と、終始冗談ばかり。
こちらはテングサ。
島のあちこちに干されていました。
せとうち暮らしメンバー 考古学者の乗松さんが家の瓦を見て
「岡山と交流があるようだね」と。
どうやら、瓦の平の部分の中心にある巴のマークは岡山に多いらしい。
実際に、昔は沖ノ島から岡山県牛窓まで船が出ていたり、
今でも獲った魚は岡山に出しているそうです。
黄色い看板が着いている左側の船がサワラなどを獲り(流し刺し網)、
看板が着いていない右側の船がイカやタイやエビなどを獲ります(地引き網)。
良く見ると、網の種類が違いますね。
島の漁師さん。 沖ノ島ではオープンで朗らかな方が多くて嬉しくなります。
どこからどこまでが農家さんの畑かわからないくらい、島のあちこちに畑がありました。
「なだらかな地形で、水がすぐに海に流れ出ることがないから、農業もできるんだろうね」
と、島の方と推測。
やっぱりテングサ。
ところてんを作るのも手間がかかるのですが、
島の方と話していると、こういった手のかかる料理もちゃんとやっている家が多い印象です。
こちらはそら豆。そら豆醤油の材料です。そら豆醤油は高橋商店さんが造っています。
やっぱり小豆島との交流がある………と、いうよりも距離が近いので一体になっている印象。
見事に作られたレタスを褒めていたら「持っていきー」と。
甘えてもらっていきました。
それにしても、本当に奇麗で立派。
「ヒトデは最高の有機肥料なんよ。スイカの傍に撒くと甘くて美味しいスイカになるんよ。他にも海藻も撒くよ」
と、ワラビが!
山の中に入らなきゃないワラビがまさかの道ばたに…。
どこまで食材が豊かなんだろう。
たわわに実るサクランボ。雨に濡れて宝石のようです。
「食べていいよ」という声に甘えて、いくつもつまんじゃいました。
島の逆側の集落にたどり着きました。
3世帯しかないのに、この船の数。
「自分の船で移動できるから便利なのよー」と、島の方。
確かに。のどかさや静けさを持ちつつ、
買い物とか病院とかには船ですぐ行けるって、生活も豊かだなぁ。
と、あれ?「第一島人」として出会ったお母さん。
本当に自転車に乗る感覚で船に乗るんだなぁ。
ちなみに、このお母さんは、いぎす豆腐の名人。
3世帯ある内の1世帯「来(らい)」さんが家の中に招いてくれました。
縁側に座ってしばしおしゃべり。この後、沖ノ島の別の世帯の方も来てくれました。
柑橘を砂糖で漬けただけなのに、すっごく美味しい。
このレモンのケーキが風味豊かでこれまた美味しい。
上にかかったお砂糖とのバランスや生地のふわふわ感がたまらない。
ハンガーの後ろに見えるレモンを使っているのだそう。
来さんのおじいちゃんが植えたレモンが、こうやって活きているっていいなぁ。
そしてやっぱり愛犬が傍に。
ご近所の愛犬も。やっぱり人懐っこくてオシャレ。
こちらはダメ貝。
「20分もとってたら、こんなけ採れるでー」
「子供頃は、このダメ貝がおやつ代わりやったんや。体にもええしね」
帰路。
港まで見送りに来てくれました。
港に並ぶ蛸壺。蛸壺に反応するのは蛸壺に詳しい考古学者の乗松さん。
漁師さんにいろいろ確認しているうちに…
まさかのことに、もらってました。いいんだ…。
帰りは沖ノ島の方が送ってくれました。優しい。
と、船の上では蛸壺を調べる人がいたり、
野菜を分けてくれている人がいたり、
やっぱり犬も一緒だったり。
この普通じゃない感たっぷりなのがいいなぁ。
小江に到着。
沖ノ島の皆様、本当にお世話になりました!
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