粟島『島のじいちゃんが行った世界の港町』

「白い飯が食えるから、船に乗ったんよ」
まるで時代劇の台詞のような言葉を、思い出として語るおじいちゃんの言葉がとても印象的でした。

今粟島で開かれている『僕らの思い出の写真展 島のじいちゃんが行った世界の港町』。
かつて国立粟島海員学校を卒業した、元船員のおじいちゃん達の貴重な思い出の写真展です。

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日本で最初の海員養成学校が設立された粟島。
1987年に廃校になりましたが、ここからたくさんの島の子どもたちが卒業し、
船員として世界中の海へと旅立っていきました。

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木造校舎は大正時代当時のまま。
瀬戸内国際芸術祭の作品が同じ建物内で展示されていることもあり、
多くの人でにぎわっていました。

写真展の入り口をくぐると、まず最初に目に入ってきたのは、地図。

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元船員さん達の思い出を元に描かれたそうです。
十数人の船乗りさん達が航海の記憶を繋いで世界地図をつくるとは・・・。思わずため息が漏れました。

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手書きの文字を辿っていると、まるで一つひとつが声になって語りかけてくるようです。

島で、港で、船の中で、海の上で。
語りきれない思い出が地図からにじみ出ているようでした。

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先に進むと写真コーナー。
床にちりばめられたシーグラスがモノクロの思い出たちを彩ります。

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エジプト、イタリアのベニスにナポリ、ルーマニア、インドのムンバイ・・・・
この時代、これだけ世界各地を回っていたのは船乗りさんならでは。
島の元船員さん達は、引退した今でも聞き馴染みのない世界の地名・海峡名がすらすら出てくるそうです。

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貴重な船内生活の様子も。
海の上で何か月も過ごしていると、時間の感覚がなくなってしまうので、
こうした年中行事は陸の生活を思い出させ、愛おしく感じたことでしょう。

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かつて船員さん達が勤めていた船会社の社旗。
それぞれのマークを掲げ、世界の海へと乗り出していった若き船乗りさん達を思うと、
勲章のようにも見えますね。

写真の展示コーナーへ行ったら、パネルの裏側ものそいでみてください。
おじいちゃん達の素敵なメッセージがありますよ!

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最後に、今回の写真展を開催するにあたって、写真と体験談を寄せてくださった元船乗りさん達と、
主催者の津田さん、香川高専詫間キャンパス、藤井研究室の皆さんです。

元船員さん達の記憶を形に残すため、かつて船の上で経験したさまざまな体験談を聞き取り、
しまわれたままだったアルバムの写真を、ていねいに繋いで実現した今回の企画。

遠い記憶になってしまっていた当時の思い出を、学生さんが熱心に聞いてくれて、
おじいちゃん達はとても嬉しそうだったと言います。

皆さんも、遠い世界の海を旅した粟島の船乗りさん達と、旅の記憶に会いに来てください。

『僕らの思い出の写真展 島のじいちゃんが行った世界の港町』
開催日時2016年10月8日(土)~11月6日(日)
9時30分~16時30分
会場:粟島海洋記念館
入場料:500円
問合せ先:藤井研究室
TEL:0875-83-8559

※須田港までのアクセスについて
瀬戸内国際芸術祭会期中は、須田港から少し離れた場所に
臨時の駐車場が設けられています。
(駐車場からは無料シャトルバスが出ています)
須田港付近には駐車できませんので、ご注意を。
http://www.mitoyo-kanko.com/?p=18576

写真展は11月6日までですが、藤井研究室では、今回収集した写真1300枚をデータ化し、
スマホやタブレットで見られるアプリを開発されています。現在はアンドロイドのみ公開中ですが、
iOSも開発中とのことです。
こちらも合わせてお楽しみに。