人間が生きていくうえで必要な塩。
かつては、やきものの器(土器)に海水を入れ、それを煮詰めて塩をつくっていました。
この塩づくりの方法は、西日本では備讃瀬戸(香川と岡山にまたがる地域)で始まりました。
今からおよそ2,100年前(弥生時代)のことです。
それから長らくの間、備讃瀬戸は塩づくりのメッカでした。
なので備讃瀬戸の島々では、あちこちで塩づくりの跡を見ることができます。
2010年、直島に開館した李禹煥美術館の先にも、かつての塩づくりの跡があります。
奈良時代の塩づくりの跡―倉浦(くらら)遺跡です。
ところどころに当時の土器のかけらが残されています。
今は静かな浜ですが、しばらく眺めていると塩づくりに忙しく動き回っていた人々が見えてくるような気がします。
乗松真也