自転車がありますよ 2 (男木島編が生まれるまで)

前回の予告通り、今回の舞台は男木島と決まっていました。
小豆島から男木島へ行くには、まず高松へ出ます。
高松では一時間ほどの空き時間があったので、
我が折りたたみ自転車「ボードウォーク」を組み立てて、
以前から気になっていた、港の脇の突堤の方に行ってみることにしました。
 
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思ったより長い道のりをのんびり走ってみると、先端には可愛げのある赤い灯台。
そこに向かう道の上には、何のためだかまったく意味がわからない木製のボードウォーク。
(ボードウォークというものは通常、砂地や湿地など
足場の悪いところを通れるように設置されるものなのです。)

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「これは使える」と僕は確信しました。
「赤い灯台へと続くボードウォーク、その上を走る赤いボードウォーク。
これはシャレが効いている…。
さらには赤い船「めおん2」、そして赤いタコでも添えて、
赤をテーマに何か面白い世界が開けていきそうだ…」

前半部分は、ボードウォークと赤灯台を舞台に展開。
そして「めおん2」に乗って男木島に移動し、
後半は男木島での血沸き肉躍る冒険。うまい具合にオチもついた。
猛烈な勢いで文を書き上げた僕は、出版社に出向いて原稿を投げ出し、編集長に向かって言い放ちました。

「どうですか、この文章は…」

静かに原稿を手に取り、すべて読み終えた編集長は、
瞳を鋼球のように輝かせ、我が意を得たりといった面持ちでうなずきながら、力強く言いました。
「長すぎますね。前半部分カットでいきましょうか」